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2024年1月




2024/1/1


バイト2日目。朝9時頃から誰が酒を飲むんだと思っていたが、ぼちぼち売れた。お参りの列は店の前を通って、ずっと奥まで続いている。ホットワインとフランクを紙であおいで匂いをぶつける。ぼちぼち売れた。


不思議なことは、売れる時は一気に売れて、売れないときは全然売れない。何か浮ついたような落ち込んだような気持ちになったので、ずっと酒を飲みながら店番をした。人に対して、適当にできる。


夕方、参拝に並んでいるたくさんの人の携帯が一斉に鳴り出して、すごい音になった。緊急地震速報。この辺りは震度3くらいだった。


夜、家に帰ってテレビをつけると、どのチャンネルも地震速報をやっていて、今回の地震の大きさを初めて実感した。東日本大震災のとき、震度6くらい揺れたことを思い出した。疲れている体がより考えられなくなる。1人でいるのは心細いので実家に行って、猫と犬と眠った。






2024/1/2


バイト3日目。朝、母親が雑煮を作ったので一緒に食べたら普通に遅刻だった。母も疲れているらしい。店のメニューの見せ方を少しずつ変えてみて、見え易いようにした。本当はちゃんと活字で印刷したもののほうがみんな買いやすいだろうけど、そこまでする気力はない。


昼に広島焼きの屋台に並んだら、すごくゆっくり焼いていて待たされた。この焦らしで、絶えず人がいるようにしているのかと思う。広島焼きは麺の代わりにキャベツがたくさん入っていた。屋台だから許される味がする。フランクを焼く匂いが嫌になってきた。


終わり間際に、昔の同級生に会って少し話をした。定期的に人と会った方がいいのだなと思って、春に遊ぶ約束をする。


夜、家に帰ってテレビをつけると、今度は飛行機が燃えていた。悲しい気持ちになったので実家に行って、いっぱい食べて眠った。






2024/1/3


バイト4日目。フランクの匂いの染みついた上着を着て、今日も酒と肉を売る。


左斜め前の串焼き屋のおじさんは毎日フランクを買いにきて、右斜め前の豆屋のおじさんは毎日スパークリングワインを買いに来た。露店の人を長く見ることがなかったので、暇なときに彼らを見ていると面白かった。同じ人間だなと思う。


夕方になって店仕舞いをして帰った。すぐに寝たかったけど、頑張ってきちんと食べて、片付けをした。






2024/1/4


初めての休みの日。何もする気が起きなかったけど、少しそわそわしたので東京に行った。とりあえず上野に出てみて、好きな喫茶店に行ったがいっぱいだったので近くのドトールに行った。


応募する予定のAIRを調べて、なんとなく考える。栃木にいると作業はできるけど、脳の活発な部分が少し動きにくい。突如、明日も東京に行って泊まることが決まった。そのままフェリーで北海道に行く。






2024/1/5


昼、昨日予約した美容室に行って毛先と前髪を切った。インナーカラーに飽きたので茶色に染めて欲しかったけど、勿体無いと言われてやめた。


数日前から移動の準備をしていたが、お土産などの買い物をしていなかったので街中を車で移動する。ガソリン、防寒対策、最中、ワイン、スノーブーツ。


少し人に挨拶をして、高速道路に乗った。首都高までの道はあまり覚えていないけど、首都高のことはよく覚えている。道路が何重にも重なって、上にも下にも何かがあって、大きい川と電波塔を見ながらたくさんカーブを曲がった。


道路のすぐ脇にあるマンションの部屋の灯りと、遠くに見える団地の規則的な灯り。道路に続くたくさんの街灯も重なって、ハンドルを持つ車の灯りも、全て同質のものに思えた。


錦糸町の近くで久しぶりの人と犬に会い、一緒に展示をするという人と3人で中華料理屋に行った。たくさん食べる。その後は西荻に行く車の助手席で眠ったりして、その人の展示会場の端で眠った。寒くてあまりうまく眠れない。






2024/1/6


朝、一緒に駅の方の喫茶店に行ってモーニングを食べた。煙草臭い店内で、しみったれた人しかいなくて安心する。意外と美味しいパンを食べて、意外とちゃんと味のするコーヒーを飲んだ。


その後、近くのショッピングモールで買い物をした。午後、錦糸町を出て茨城県のフェリー乗り場に向かう。忘れ物をして戻ったので、乗船手続きがギリギリの時間になった。車の待機場所でしばらく待った後、一台ずつフェリーに誘導される。


ゴーっと音の響く船の狭い階段を登って、ロビーについた。深夜便と違って、夕方便はすごく綺麗だった。戸惑ったまま、部活動の高校生がたくさんいる風呂に入った。


本当はパソコンで少し作業をしたり本を読みたかったが、狭い2段ベットが自分の全てのように思えて落ち込んだので、出航すると同時に寝た。






2024/1/7


午後2時頃にフェリーを降りた。雪のない4車線のよく分からない大きな道路を走って、高速道路に乗る。途中の吹雪。太陽は出ていないけど、少しの光を雪が反射しているので眩しい。少しオレンジがかったサングラスをすると、冷たい景色が少し暖かくなった。


6時間くらい走り続ける。吹雪で雪の積もった道路、雪のない道、吹雪、凍った道、色々なものを見た気がしたけどあまり覚えていない。高速道路を降りると、人気のない道をずっと走って川湯温泉に着いた。


照明の暗い寂れた旅館にチェックインする。セコマで買ったコーヒーゼリーを食べて、地下にある温泉に入った。


外から感じていた匂いがすごく濃くなる。何だろうと思いながらお湯に入っていると、塩おにぎりのまわりに付いた湿った海苔のことを思い出した。または、塩で煮た手羽を齧ったときの鼻のぬけ具合。手を舐めてみたけど塩っぱくなかった。






2024/1/8


朝起きて、まだ外が暗いまま、お風呂に入った。昨日と同じ匂い。


旅館を出て、屈斜路湖を見ようと思い、少し湖の方に近づいた。車の中、木々の間から青い水が揺れていて、海みたいだと思った。向こう岸には霞んだ青と白の山が見える。島かもしれない。


すぐそばに雪に刺さった太い流木を見つけたので、それを拾って斜里に向う。斜里までの1時間は、人の車に乗って見る景色と全く違って見えた。


道路の雪に気をつけて走るので、ハンドルを通して感じる雪と景色全体にある雪がちゃんと同じ雪として見える。嘘みたいに広い景色でも、質感が分かるという感じがした。


斜里に着いて、めいさんと会い、スーパーに行って数日分の食材を買った。車の窓越しに、「安全運転」と口パクをして、ウトロに向かう。夏に何度も見た風景は真っ白に変わっていて、同じ町だと分かっているのにあまりしっくりこない。


家に帰ってがっつり昼食を食べた後、栃木から持ってきた柚子を持って、近所に挨拶をしに行った。2軒目で家に上がると酒を勧められたので、缶ビールを1本飲んだ。すると、次から次にと4本出てきた。私は3本だけ飲んで、めいさんは4本飲んだ。


家を出ると真っ暗になっていたので、帰って、ご飯を作って食べた。東京でもらったワインを開ける。生のエビを何個か食べると、少し体調が悪い気がしてきたので早めに寝た。全部美味しかった。






2024/1/9


朝、東京に近い場所にいるような気がしたけど、知床にいることを思い出した。川湯のお湯の匂いをたくさん吸ったのに、もう忘れてしまった気がする。


起きてシャワーを浴び、めいさんが炊いてくれた柚子の炊き込みご飯と鮭、卵焼き、赤味噌の味噌汁を食べた。2食分くらいのエネルギーが体に入って、ちょっと疲れる。


午後は農家さんのところに行って、お茶をしながら冬の遊びの話をした。遠くに見える白い連山と大きな斜里岳。雪はまだ見慣れなくて、白くキラキラ光っている。


夕方、道の駅で斜里の人に会い、一緒に網走で行われる「死刑執行済みの死刑囚の遺品を囲みながらご飯を食べる会」に行った。机の上の革靴と大人しい猫。カウンターの奥に映された不思議な映画を見ながら、ノンアルコールビールを飲んだ。


適当に切り上げ、しれとこクラブのお湯に入って帰る。知床にいることがはっきりと分かってきて、遊びと仕事をしっかりしようと思った。






2024/1/10


朝、骨付き肉の味噌汁を作って食べた。身支度を終えた頃にめいさんが起き上がる。少し明るくて薄暗い家の中は、外の冷たさと部屋の生活をきちんと見ることができて嬉しい。ちゃんと生きなくてはと思うし、そうすることが頑張れると感じる。


9時頃から「語り継ぐ女の歴史 第二巻」の文字起こしを始めた。携帯でスキャンした後に、パソコンで校正をする。最初から硫黄山爆発に伴うタコ部屋の話で、すごく面白かった。


この本に出てくる語り手の女性は、今生きているとしたら110歳くらいの人で、多分ほとんどの人が亡くなっている。樺太や択捉に住んでいて終戦後に引き上げてきた人や、斜里での豊かな生活を夢見て家族で開拓民として移り住んできた人。


そのほとんどが着の身着のままで来て、厳しい知床の地に驚いている。農業や漁業の始めたては何もかもがうまくいかず、草で覆った家などに住み、家の中に雪が降っていたなどの描写や、10人ほどの子供の面倒を見ながら農作業や家事をして寝る暇もなく働いた、などが多い。


その若い頃の体験から最後は大体90代の現在に話は落ち着くのだが、その時代の変貌が凄まじくて、この世代の人たちは激動のすごい時代を生きたのだと思った。


昼は鮭とほうれん草のパスタ、夜は味噌汁とご飯、肉の味噌煮込みみたいなもの、白菜を食べた。






2024/1/11


朝起きてすぐに身支度をして、9時から仕事をする。午前は「語り継ぐ女の歴史」の文字起こしをして、午後は名札の印刷をしながら文字起こしをした。たくさんの知らない名前と、開拓時代の女たちの苦労話。


この作業をひたすら続けていると、私はこの家から一歩も出ていないのに、たくさんのものに囲まれているような気がした。


人の名前はすごい。人の名前があるだけ人の体があって、何十年もの厚みがあるのかと考える。でも、自分が関わっている人のことを思うだけで時間はいっぱいいっぱいだし、足りないくらいだと思う。






2024/1/12


朝5時頃に目が覚める。突風みたいな風がびゅうびゅうと吹いて、窓がすごい音を立てた。あまり開かない目で携帯を見ると、風速32km/h。見たことない数字だったので、よく分からず寝た。


起きて、食べたことのあるオムレツを作って食べた。料理に対しての感覚をあまり意識したことはなかったけど、ひとりずつ確かに違いがある。隣に人がいると、これって普通か?と思い、妙に緊張する。


生活のリズムが少しずつできてきて、朝に強くて夜に弱い私と、朝に弱くて夜に強いめいさんが同じ家で生活しているのは不思議と安心する。外は雪が柔らかく降っていたり、吹雪で見えなくなったりするけど、部屋の中はいつも暖かくて、お茶かコーヒーが机の上にある。


昼は好きな即席麺を少しだけアレンジして食べた。夜はめいさんが出汁のスープカレーをつくってくれて、机に出ていた梅干しと一緒に食べるととても美味しかった。たくさん食べすぎる。夜にコーヒーを淹れると元気になって、少しだけ夜更かしができた。






2024/1/13


昨日の元気が嘘みたいに、左目の奥がとても痛くて起き上がれなかった。頑張ってりんごを食べ、鎮痛剤を飲んで寝る。今日は休みにしてもらった。


午後になると白い水着が届いたので、それを着てみる。おかしかったので元気になった。手縫いの米糠を入れたアイマスクとごはん、色々作ってもらい、人ってすごいと思った。






2024/1/14


朝起きて、思い出したってどうにもならないことばかり考えた。良いことだけを受け取ることはできないので、そういうものなのだと諦める。みんなどうやって生きているのだろうと思うけど、やっぱり忙しく働くしかないのか。


本当はもっとゆっくり生きていたいけど、反応や代謝の良い若い体とうまく噛み合わない。語り継ぐ女の歴史を見ていても、人間は働くための構造をしているのだろうと思う。


ヤフオクで中古のカメラを買った。明後日とかに届くらしい。こんな雪でも荷物が届くのは、不思議な感じがした。


肉とかじゃがいも、野菜をたくさん食べた。何日も家の周囲から出ていないのに、こんなに食べられるのかと思う。めいさんの作る料理は美味しくて好き。



体の軸がブレて、正される。

家で見ていた、感じていたものたちはあっという間になくなって、場所と記憶が目の前に表れる。

こことそこにいることの違い、こことあそこにいることの共通点。

車に乗ってあっという間に山の裏側に行ったり、頂上に登ったりして、同じ方向のものを違う場所から見ている。

見えているものは、先ほどの記憶と重ねた、またはもっと昔の記憶と重ねたもので、純粋にそのものと向き合えている気はあまりしない。

何層かの像が重なっているように見えるけど、写真に撮ると、山は1本の線でできた形をしていて、鮮やかな色や透明な水が塗りつぶされてしまう。





2024/1/15


仕事をして、猛吹雪の中、近くの犬の様子を見に行った。道路は畑の雪が吹雪かれて、ところどころに雪溜まりがあり、道も畑も区別がなかった。


少しの間、顔の半分を出していただけで凍れそうになる。辺りは暗くて、大きな木に囲まれていたが、雪が白いおかげで大して暗く感じられなかった。


夜、お菓子作りをして、ぼうっと話す。甘い味と果物をあまりうまく受け入れられなかった。お酒を結構飲む。


深夜、少し落ち込んでうまく話せなかった。我儘ばかり垂れ流してしまった気がする。






2024/1/16


朝、遅く起きて、調子の悪い顔で昨日焼いたお菓子を食べた。机にある冷めたコーヒーと一緒に食べると美味しかったので、ある心持ちを取り戻し、元気になった。お菓子の強さは忘れた頃にやってくるのですごい。


昼前、斜里に向かって、荒れた海と白い道を走った。何の音楽もなしにこの道を走れるときは、元気なときだと思う。


昼は好きな喫茶店で一緒に食べて、博物館に行って、アジトに行った。パワフルなおじさん2人に連続で会い、こうでありたいなと思う。


温泉に行って体を温めたあと、白菜の鍋を食べて、壁の土塗りをした。凍った土の冷たさと電気ケトルで温められたお湯が手の中で混ざる。


土塗りの感覚をなぜか知っていて、とても楽しく集中してできた。22時まででいいよと言われたのを、1時頃までやった。端っこまでやったらすぐに手を洗って寝る。






2024/1/17


朝起きて、疲れていると思った。コーヒーを淹れてお菓子を食べ、昼は野菜炒めをのせた味噌ラーメンを作った。


そのあと、汚れたシンクとコンロを綺麗にした。外ではめいさんが雪の中に埋まった桜の木を一生懸命切っている。互いの行為は、反対になってもあまり変わらないような気がして、内と外の仕事のことを思った。


夕方、温泉に入って、スーパーに行き、農家さんの家でみんなで料理をした。メインは熊鍋。薄くスライスした熊肉を焼いた後に、野菜が煮えた鍋に入れ、赤味噌と醤油で味を整える。たくさんの料理があって嬉しかった。


少し眠って、深夜にフライドポテトを食べる。3時まで何かを話し続けていた。






2024/1/18


朝起きても、昨日の暖炉の熱が家中にあったので、顔を水で洗うとすごく気持ちよかった。コーヒーとパンを食べて、家を出る。


眩しい雪道をぼうっと走っていたら家に着いた。家に入ると、思ったよりも体が疲れていて、カーペットから離れられない。浅い眠りの中にいると、雑炊いる?と言われたので起きて食べた。


美味しくて安心したのでまた眠る。暗くなってめいさんが出かけたあとに、またご飯を食べてシャッキリしようと思ったけど、すごく真剣にサラメシを見てしまった。コーヒーを淹れて頑張る。






2024/1/19


お昼、ラーメンを食べて、ポートフォリオを作った。フォントや配置、フォトショの使い方を教えてもらう。海の真ん中ら辺の波が高い。






2024/1/20


10時から何度も通ったことある道の、緑色の建物の前で人と会った。入り口の前の雪をかいて、小さな開けにくい鍵を回す。よく喋る女性の後ろについて、何もないベニヤの部屋と、たくさんのふすまがある廊下を通って、細い階段をのぼった。


余った材でつくったような流し台と、棚。時代を跨いだ大きな木の床があって、色々なものが詰まった部屋、押し入れの部屋、緑色の部屋、畳の部屋、1つ1つ全く違った部屋があった。


いいですね、好きです、とたくさん言って、女性の話を聞く。一通り見終えたあとに、押し入れにかけられた無骨な梯子に登ってみると、すごく良い屋根裏があった。光と、太くて古い木がたくさんある。遠くの国に行くことがすっかり馬鹿みたいに思えて、ここに集中しようと思った。


なんとなく借りる約束をして、1階に降り、唯一のテナントである美容室の人と話す。最初はすごく嫌そうな顔をして、面倒くさいと言ったが、話を続けて私が栃木県から来たことを知ると、なぜか雰囲気がまるくなって、頑張ってみなよと言った。






2024/1/21


昨日、印刷を頼んだものがたくさんきた。いろいろな紙を切って、それらをまとめる。小さい段ボールに入れて、発送の準備をした。京都で印刷されたこれらが知床に届いて、また関東の方に運ばれていくのは、なんか変な感じがする。






2024/1/22


朝は割と動いて、昼頃に斜里に行った。人と会い、その人の車で北見に向かう。ずっと同じような畑道を見ながら、色々な話をした。すごく素直な人なので、情緒がころころ変わっておもしろい。


上映時間に映画館に着いた。イオンの中を走る。ポップコーンを買っている間に、数分前に買ったチケットが1枚消えた。なんとかなって、久しぶりに大きな画面で映画を見た。


夜は女満別空港に行って、久しぶりの人と会う。一緒にごはんを食べて、帰り道、遠回りをして帰った。






2024/1/23


ポートフォリオをつくりつつ、仕事をする。夜からは東京の人たちとzoomをした。いつも見ていた場所にいる人と私の場所が入れ替わっていて、変な感じがした。今いる部屋も、画面続きのバーチャルみたいな感じがする。


たくさんの思いがあって、多分どうあってもいいのだろうけど、今はこうあった方がいい、みたいなことがあると思った。その時間が数ヶ月か数年あるだけで、そのもの自体は変わらないと思う。それを整理して実行するのが難しい。






2024/1/24


夕方から私たちと近くに住む人を連れて、犬がいる家に行った。わんちゃんわんちゃんと言っていたら、モシリだよ、と教えてもらったので、モシモシもしもし?と言った。


ものの少ない部屋にたくさんの料理、お酒があった。大体のものを食べ終わると、冷蔵庫からフグの子とこのわたが出てきて、少しずつ食べながら日本酒を飲んだ。家に帰ると、めいさんが床で寝落ちした。






2024/1/25


朝から外は吹雪で、天気予報もニュースも、日本海側とオホーツク海側は大雪に注意とずっと言っていた。家から出るのを諦めて、低気圧に負けながらも何とか仕事をする。ウトロと斜里をつなぐ国道が通行止めになったので、また陸の孤島になった。冷蔵庫にはまだ新鮮な緑色の野菜がある。






2024/1/26


斜里に行く予定が明日になる。この大雪で、町のイベントは延期になって、仕事と学校は休みになったようだった。私は、雪の恐ろしさをまだあまり実感できていないかもしれない。






2024/1/27


昼頃、斜里のアジトに行ってみたが、道の入口には除雪された雪が押し固められていて、私の背くらいまであった。上を歩いても沈まないくらいに固い。


手での除雪は無理なので、近くの猟師さんにお願いして、除雪をしてもらった。その間は邪魔になるので、近くの蕎麦屋に行って、めいさんは親子うどん、私は天丼そばセットを頼んだ。とても美味しかったけど、お腹の調子が悪いのを忘れていたので、そのあと苦しんだ。


除雪を終えた電話がくる。すごく大変だったような声色。1粒だと手のひらで溶けてしまうのに、こんなにも重く、大きくなるのはすごい。



夕方に行った温泉はすごく混んでいて、常連のような女性も、こんなに混むことはないよ、と言った。風呂場にいる人はみんな知り合いのようで、こんにちは、雪すごいね、どうも、といった言葉がたくさん飛び交う。裸なので、急に会話に入っても平気な気がした。


夕方から深夜まで壁の土塗りをした。冷たい土が自分の手の力で平らに広がっていくのは楽しい。






2024/1/28


10時くらいまで起き上がれなかった。シャワーを浴びて、なんとかなれと思う。10時30分を過ぎると、2人が来て、慌てて掃除をしながら少しずつ話をした。


2人が準備をしている間にめいさんと雪かきをし始めたら、2人が手伝ってくれたのですごい勢いで終わった。その勢いがお祭りみたいで良かった。


目の前で、文章を読む人と、音楽をする人の配信を聞いて、この場所に流れる空気が優しく、穏やかになったような感じがした。土壁塗りは楽しいけれど作業の厳しい空気感なので、2人のあたたかさが嬉しい。


配信が終わった頃、1人、歩いてきた人が来て、ぽつりぽつり話しながらお菓子を食べた。


まだ夕方の、暗い吹雪の中を抜けて、ウトロに帰った。暖かいごはんを食べて、お風呂に入って眠る。






2024/1/29


朝起きて、ずっと眠かった。めいさんも眠いみたいで、何とか作業や仕事をした。夜は服の整理と題して、ファッションショーをして、早く夏になればいいのにと話した。通販で買う服を見て、きゃっきゃする。






2024/1/30


ゴミ出しをし損ねた。朝から昼過ぎにかけて、がっと仕事をした。アニメを見ながらたくさんごはんを食べると、食べ過ぎてハッピーだった。寝る。夜、何品かおつまみをつくってビールを飲んだ。






2024/1/31


朝起きて、今日は自分のことをしようと思った。サイトのフォントや配置を変えて、アーカイブを増やし、日記を書く。応募予定のポートフォリオを新しくつくって、つくりたいものの準備をした。


昼間、車を動かそうと思ったけどエンジンがつかなくて落ち込んでいたが、夜、めいさんがエンジンをつけてくれた。コツがあるらしい。












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