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「収束しない光」

葦の芸術原野祭 ASHIGEI 2023 | 知床半島

photo:Kichi Kawamura

自分にとって、離れていくものと近づいているものについて考えてみようと思った。

そうして浮かんだものは、 入院している祖母と年に数回訪れる斜里の土地だった。

祖母とは埋まらない歳の差があり、斜里とは車で1400 キロの距離がある。祖母とは月に2回ほど会い、斜里には年に 2 回ほど通っている。

 

それらは、目の前にあるとその遠さを深く実感し、離れた場所で思い出すときは不思議と近しいものに感じた。

祖母と斜里、それぞれの何 かしらが私の体内に存在するのだろうけど、はっきりとは分からない。

ふとした瞬間に体の動きとして出ることもあるし、料理の味付けのときに見つけることもある。

 

日々の生活の中でその気づきを発見するにつれて、祖母と斜里に対して抱いている感覚を空間に見つけることが私のできることだと思った。そうして天井から糸を吊り、様々な色の刺繍糸を結んでは、祖母の家で見つけた金具や自分が各地で拾ったものをくくりつけた。

一通り終わった後、自分の展示場所を見て、なんとなく知っていると思った。

IMG_2177.JPG

昨年に引き続き、旧役場庁舎の2階、3階にて展示をさせていただきました。

写真には写りにくいですが、天井から何本もの糸を吊り、1月末に倒れた祖母の家を掃除して出てきたもの、各地を移動して拾ったものを結んでいます。建物の構造的に2階の展示場所(白壁の方)は3階(天上の低い茶色い壁の方)の真下にあるので、天井や床が繋がっていること意識しました。

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